カンフル(樟脳)の効果とは?
塗るタイプの媚薬成分に使われる理由を解説

カンフル(樟脳)は、独特の香りと刺激感を持つ植物由来成分です。
この記事では、塗るタイプの女性用媚薬に配合される理由や、皮膚への作用について研究結果をもとに解説します。

佐藤あゆみ
日本媚薬・東洋生薬研究会 監修者 / 専属検証ライター

最終更新日:

目次
WHAT IS CAMPHOR

カンフル(樟脳)とは?

カンフル(Camphor)は、クスノキから得られる天然由来の芳香成分です。 日本では古くから樟脳(しょうのう)として知られており、防虫剤や香料、外用剤など幅広い用途で利用されてきました。 現在では、筋肉痛や肩こりなどに使用される外用クリームや軟膏にも配合されています。

カンフルの特徴は、皮膚に塗布すると独特の刺激感を与えることです。 メントールのような「冷たい感覚」とは異なり、カンフルは刺激感や温冷感の変化を感じさせる成分として利用されています。

女性用媚薬では、特にクリームやジェルなどの塗るタイプの商品に配合され、塗布部分に感覚的な変化を与える目的で使用されることがあります。

ただし、カンフルは性欲や性的能力を直接高める成分ではありません

WHY USED

なぜカンフルが塗るタイプの女性用媚薬に使われるの?

カンフルが女性用媚薬に配合される理由は、性的機能を向上させるためではなく、皮膚への刺激によって使用時の感覚を変化させるためです。

塗るタイプの媚薬では、香りや温度感、刺激感などによって普段とは異なる体験を作ることがあります。 カンフルは、その中でも独特の刺激感を持つ成分として利用されています。

皮膚には温度や刺激を感じ取る神経が存在しており、カンフルはこうした感覚受容体に作用することが研究されています。

カンフルが刺激感を生み出す仕組み

カンフルの作用で注目されているのが、TRPチャネルと呼ばれる感覚受容体です。 TRPチャネルは、温度や化学刺激を感知する神経のセンサーのような役割を持っています。

研究では、カンフルがTRPV1やTRPV3などの受容体に作用することが確認されています。 特にTRPV1は、熱感や刺激感、痛みの感覚に関係する受容体です。

カンフルはこれらの受容体へ作用することで、塗布した部分に独特の刺激感を生み出します。

カンフルは近年TRPV3を活性化することが示されており、本研究では、カンフルが異種発現させたTRPV1も活性化することを示す。ただしカプサイシンよりも高い濃度を必要とする。

Camphor has recently been shown to activate TRPV3, and here we show that camphor also activates heterologously expressed TRPV1, requiring higher concentrations than capsaicin.

引用元: Xu H, Blair NT, Clapham DE. Camphor activates and strongly desensitizes the transient receptor potential vanilloid subtype 1 channel in a vanilloid-independent mechanism. The Journal of Neuroscience. 2005.
EFFECTS

カンフルにはどのような効果がある?

カンフルについて研究されている主な作用は、皮膚への刺激作用や鎮痛作用です。 医療分野では、カンフルを含む外用剤が筋肉痛や関節痛などの一時的な不快感を和らげる目的で使用されています。

ただし、女性用媚薬で期待される「感じやすさ」や「性的興奮」とは異なる作用です。

神経への刺激による鎮痛作用

カンフルの代表的な研究対象は、痛みを感じる神経経路への作用です。 2005年の研究では、カンフルがTRPV1という痛みに関係する受容体へ作用し、その後の神経反応を弱める可能性が示されました。

研究では、カンフルが一時的にTRPV1を刺激した後、その反応性を低下させる「脱感作」という現象を起こすことが確認されています。 これは、刺激を繰り返し受けた神経が過剰反応しにくくなる仕組みです。

つまりカンフルは、

  1. 刺激を与える
  2. 感覚受容体へ作用する
  3. 神経反応を調整する

という形で、皮膚感覚に影響すると考えられています。

我々は、カンフルはTRPV1の活性化作用こそ弱いものの、その適用によってTRPV1をカプサイシンよりも速やかかつ完全に脱感作させることを見出した。(中略)カンフルによって誘導されるTRPV1の脱感作とTRPA1の阻害が、カンフルの鎮痛作用の基盤となっている可能性がある。

We found that, although camphor activates TRPV1 less effectively, camphor application desensitized TRPV1 more rapidly and completely than capsaicin. […] The camphor-induced desensitization of TRPV1 and block of TRPA1 may underlie the analgesic effects of camphor.

引用元: Xu H, Blair NT, Clapham DE. Camphor activates and strongly desensitizes the transient receptor potential vanilloid subtype 1 channel in a vanilloid-independent mechanism. The Journal of Neuroscience. 2005.

外用剤としての臨床利用

カンフルは、単独ではなくメントールなどと組み合わせた外用製品で利用されることが多くあります。 臨床研究では、カンフルを含む外用剤が、

  • 筋肉痛
  • 関節痛
  • かゆみ
  • 皮膚の不快感

などへの対策として研究されています。

2023年のレビューでは、カンフルやメントールを含む外用剤について、痛みやかゆみなどの症状緩和に利用されてきた歴史と、感覚受容体を介した作用について整理されています。

ただし、研究の多くは痛みや皮膚症状を対象にしたものであり、女性の性的感度向上を目的とした臨床試験ではありません

この分析に基づくと、カンフルとメントールを含む外用剤は、痛み、上気道感染症の症状、かゆみの治療に有効である可能性があり、加えて抗菌作用を持つ可能性もある。しかし、それぞれの用途を扱った研究の数が限られているため、その使用について確定的な推奨を行うことはできない。

Based on this analysis, topical agents containing camphor and menthol are potentially effective at treating pain, upper respiratory infection symptoms, and pruritus in addition to potentially functioning as an antimicrobial. However, with a limited number of studies addressing these compounds' uses in each application, no definitive recommendation can be made regarding their use.

引用元: Hoang D, Wong A, Olympia RP. Looking Back to Move Forward: The Current State of Research on the Clinical Applications of Camphor- and Menthol-Containing Agents. Cureus. 2023.
SENSITIVITY

カンフルは女性の感じやすさに効果がある?

女性用媚薬として使用される場合、気になるのが「カンフルで性的な感度が高まるのか」という点です。

現在の科学的研究では、カンフルが女性の性的感度や性欲を直接高めることは確認されていません

カンフルの特徴は、血流改善やホルモン作用ではなく、皮膚や神経への刺激によって感覚を変化させる点です。

クリトリスの血流を増やす成分ではない

シトルリンアルギニンは、一酸化窒素(NO)や血流との関係から研究されています。

一方で、カンフルには、

  • クリトリス周辺の血流を増加させる
  • 性器組織の反応を高める
  • 性欲関連ホルモンを増加させる

といった作用は確認されていません。

そのため、カンフルは「身体機能を高める媚薬成分」とは異なります。

刺激感によって体験を変化させる

カンフルは、塗布した部分に独特の刺激感を与えます。 この刺激は、人によっては普段とは違う感覚として感じられる場合があります。

女性用媚薬では、このような感覚変化を利用して、

  • マッサージ時の使用感を変える
  • スキンシップのきっかけを作る
  • 感覚的な刺激を加える

といった目的で配合されることがあります。

ただし、これは「性的能力が向上する」という意味ではありません。

塗るタイプの媚薬の効果を見る
COMPARISON

メントールとカンフルの違い

メントールとカンフルは、どちらも塗布による感覚刺激を目的として利用される成分です。

メントールは主にTRPM8という冷感受容体に作用し、ひんやりした感覚を生み出します。 一方、カンフルはTRPV1やTRPV3など複数の感覚受容体との関係が研究されており、冷感だけではなく刺激感や温冷感の変化に関係します。

そのため、塗るタイプの女性用媚薬では、

  • メントール=冷涼感を与える成分
  • カンフル=刺激感や独特の使用感を与える成分

として使い分けられています。

CAUTIONS

カンフルを使用するときの注意点

カンフルは刺激性を持つ成分のため、使用する部位や濃度には注意が必要です。 特にデリケートゾーン周辺は皮膚が薄く刺激を感じやすいため、製品の使用方法を守ることが重要です。

刺激が強すぎる場合、

  • ヒリヒリ感
  • 赤み
  • かゆみ
  • 違和感

などが起こる可能性があります。

また、カンフルを高濃度で使用することは避ける必要があります

媚薬の副作用と注意点を見る
SUMMARY

カンフル(樟脳)の効果のまとめ

カンフルは、クスノキ由来の植物成分で、古くから外用剤や香料として利用されてきました。 女性用媚薬では、性的機能を直接高める目的ではなく、塗布部分に刺激感や独特の使用感を与える成分として配合されています。

現在分かっていることを整理すると、

  • カンフルはクスノキ由来の芳香成分である

  • TRPV1やTRPV3など感覚受容体との関係が研究されている

  • 外用剤では痛みや皮膚の不快感への利用が研究されている

  • 性欲を直接高める成分ではない

  • クリトリスの血流や性的感度を向上させる科学的根拠はない

  • 塗布時の刺激感によって使用体験を変化させる成分として利用されている

カンフルは、「女性の性的機能を高める媚薬成分」ではなく、刺激感や感覚的な変化を与えることで、塗るタイプの商品ならではの体験を作る成分と考えるのが適切です。

この記事の監修者
佐藤あゆみ
日本媚薬・東洋生薬研究会 監修者 / 専属検証ライター 専属検証ライター 佐藤あゆみ

佐藤あゆみは、女性向けセルフケア、パートナーシップ、性生活に関するテーマを担当する専属検証ライターです。美容・ライフスタイル領域での執筆経験をもとに、女性の年齢による心身の変化、日常的な悩み、パートナーとの関係性に寄り添った情報発信を行っています。
記事監修では、紹介商品の成分表示、販売元情報、使用時の注意点、口コミ傾向、広告表現の妥当性を確認し、読者が安心して比較・検討できる内容になっているかを検証しています。個人的な感想だけに偏らず、実体験・公開情報・権威性のある学術記事を総合的に確認し、誤解を招かないコンテンツづくりを重視しています。